2014年2月11日火曜日




シルヴィアへ



シルヴィア、今も憶えているだろうか

あの、きみの限られた命のときのことを

きみのにこやかで、そぞろ目のなかで

美しさがまばゆくかがやき

そしてきみが、嬉しげに思いつめて、
青春の門出にのぼろうとしていたときのことを


ひっそりとした部屋や、

あたりの通りが

きみの繰り返される歌に響いてた、

きみが手仕事に根をつめて腰かけ、

心に懐いたあの漠とした

先行きに満ち足りていたあいだにも。


それは匂いたつ5月のことで

きみはそうして日を過ごしていた



ジャコモ・レオパルディ













去年 恵比寿の写真美術館で観たジャコメッリ写真展
それに添えられていた詩がとても美しかった

死のイメージを切り取るモノクロの写真家と
悲観的なイタリア詩人の詩

悲観と歓喜の往路にカタルシスが存在していて
それを捕まえなければならないらのかもしれない。