シルヴィアへ
シルヴィア、今も憶えているだろうか
あの、きみの限られた命のときのことを
きみのにこやかで、そぞろ目のなかで
美しさがまばゆくかがやき
そしてきみが、嬉しげに思いつめて、
青春の門出にのぼろうとしていたときのことを
ひっそりとした部屋や、
あたりの通りが
きみの繰り返される歌に響いてた、
きみが手仕事に根をつめて腰かけ、
心に懐いたあの漠とした
先行きに満ち足りていたあいだにも。
それは匂いたつ5月のことで
きみはそうして日を過ごしていた
ジャコモ・レオパルディ
去年 恵比寿の写真美術館で観たジャコメッリ写真展
それに添えられていた詩がとても美しかった
死のイメージを切り取るモノクロの写真家と
悲観的なイタリア詩人の詩
悲観と歓喜の往路にカタルシスが存在していて
それを捕まえなければならないらのかもしれない。