2013年7月30日火曜日








架空の街。
詩人どもの巣窟。
夏の空が下腹部あたりを蠢くホテル。

ある男は格子状の窓辺から古い歌をハミングする。
ある男は格子状の窓辺から向いの窓辺の女へプレヴェールを朗読して聞かせる。
ある男は格子状の窓辺からオレンジの皮を捨てる。
ある男は格子状の窓辺からの眺めを女の太腿に写生する。
ある男は格子状の窓辺から他の部屋の時計を覗き込みゆっくりと歳をとる。
ある男は格子状の窓辺から空想の鳥を待つ。


予定無き長期滞在。
午後三時の陽射しを浴びに滞在者たちは部屋を沈黙へと返す。
ほら空白を楽しんで。
ナイマンのピアノ
ストロボが待ち構えて
ジャッカルが月に背を向けて
石畳が雨で輝いて

ホテル・リスボアの一角で
架空の街のホテルのロビーで
夏に
人生は美しい
とても